日本の医学部

日本ではほとんどの医学生は高校から直接入学する.その高校も6年一貫など大学受験に重きを置いている学校の出身者が多い.小学校から受験受験,周りも受験,同じ方向を向いている人だけに囲まれてきている.他の世界を知らない.こういうことは子供一人でできることではないので,当然家庭の協力が前提にある.
つまり,勉強だけしていれば許される環境で育ち,他の世界を知らない”井戸の中の蛙”状態の人達がすんなり医学部にきて,すんなり国家試験に合格し,すんなり医師になっているのだ.こういう人たちが,他人の痛みを本当に理解できるだろうか.死という誰にとっても一大事の事態に直面した人間のシビアな諸問題を理解し,配慮ある対応ができるだろうか?
この状況+権力主義が日本の大学医学部の現状だと思う.普通ならば平社員のときから,「先生」と呼ばれ,あがめられ,人間関係でも経済的にもさして苦労することもない.営業で他人に頭を下げて回ることもなく,生活で苦労したこともない.そういう連中の中で,たくさんのマウスを実験で殺し,他人を出し抜いて論文を書いてきた人が医学部の教授なのだ.
あまり大きな声では言えないが,日本の医学教育の問題点の1つだと思う.