クラクション

私はあまりクラクションを鳴らしたことがないので,たまに鳴らすのに勇気がいる.もっともめったに鳴らすことはなく,たいていの場合すんでのところで思いとどまる.少し我慢すればいいことだから,と思う.危なっかしい蛇行運転をするバイクや堂々と車道を歩く高校生などがそういう場合だ.なので,私が鳴らすのは信号が青に変わったのに前の車が動かない場合に限られる.遠慮がちに短く鳴らす.「あの,信号青になってるので,良ければ進んでいただけませんか?」という感じだ.
上記の場合はいずれも鳴らすまでにしばし考える時間がある.しかし,不思議に思うのは,緊急で鳴らす人だ.例えば,自分の車の直前に別の車が予期せず急に割り込んできた場合だ.こういうのはたいていウインカーも出さずにいきなり車線変更してくる.危ない!避けなければ!と思うのが先にきて,とてもクラクションを鳴らす余裕なんかない.クラクションを鳴らす余裕があるのであれば,大して急を要するほど危なくはなく,スピードをゆるめたりなどで十分対応可能だということだ.ただし危険を感じることは確かだろう.すぐに進路やスピードを調節しなければ事故に至る可能性は十分にある.それでも,まずクラクションなのか.
こういうクラクションを鳴らす閾値が低い人ってどんな人なんだろう.不都合があるとすぐに不満を口に出してしまう人なんだろうか.普段は気が小さいけど,車に乗ることで気が大きくなっているのだろうか.